うたてやな人の言の葉頼みにき 変はらざらんや紫陽花の色
照滴032
本文
うたてやな人の言の葉頼みにき 変はらざらんや紫陽花の色
形式
#短歌
カテゴリ
#6.情愛・人間関係
ラベル
#花 #恋愛 #親愛 #自然現象 #言葉
キーワード
#言の葉 #紫陽花 #変わらぬ色 #信頼 #人間関係 #うたて
要点
人の言葉を信じることの頼りなさと、自然の美しさの対比。
現代語訳
ああ、愚かだなあ。あの人の言葉を信じていた。いったい、紫陽花の色が変わらないなんてことがあるだろうか?(いや、ない。そのように人は変わってしまうのだ)
注釈
うたて:愚かだ。情けない。
人の言の葉頼みにき:他人の言葉や約束を頼りにしてしまったこと。
変はらざらんや:変わらないだろうか。(反語で、変わるだろうの意。)
紫陽花:土壌のpHによって容易に色が変わる紫陽花の花の色。不安定さ、変わりやすさの象徴。
解説
人間関係の不確かさと自然の美しさを対比し、情愛や信頼の難しさを短歌で描く。
深掘り_嵯峨
「人」の言葉の信頼性の脆さを、「紫陽花の色」の無常に重ねて詠んだ歌です。
恋の言葉や約束など、他者の心から発せられる「言の葉」は、外部の環境(土壌)によって変わってしまう紫陽花の色のように、極めて不安定であり、頼りにしてはならないという痛烈な教訓が込められています。裏切りや無常の体験から来る、深い諦念が感じられます。